魔王に救われた勇者と勇者を愛した魔王のお話 2話

作:ダァト

2【終わりの始まり】

 今からずっと昔、人の支配下にあったこの世に幾柱かの魔王が顕現した。 彼らはある日、何処からともなく“発生”し、呼吸をするかの様に魔物を生み 出した。当然、矮小な人間は奇怪で強大な彼らとその副産物に蹂躙され、居 場所を追われた。大きな都市は瓦礫の山に、小さな集落は灰と炭の塊に変じ た。辛くも生き残った人間は地表に蔓延る彼らの視界に入らぬよう、殆ど壊 れた地下施設で僅かばかりの食糧を抱えて暮らすようになった。

 _____しかし、ある日突然に形勢は逆転した。

 人間が地底で武器を創り、腕を磨き、魔物と同等の力を手に入れたのだ。一度切っ掛けができれば早いもので、人は次々に穴ぐらから這い出て魔物ど もを殺し始めた。その途中で村を、街を取り戻し、再び世界は人間の支配す るものとなった。
 勿論、魔王たちも黙ってはいない。今まで以上の魔物を創って人を襲った。
 だが、もう既に遅かった。人間の数は魔王の現れ出した頃と同じくらいに 膨れ上がり、集団で魔物を撃滅することにも慣れてしまっていた。
 かくして、魔物は数を減らし、魔王さえも討伐されるようになっていった。

 ___そして、時は過ぎ、残る魔王も一柱となったのだった。